在日コリアンの歴史にふれ、この社会にある人権問題を学ぶ視察その①京都朝鮮中高級学校訪問
昨日4月14日月曜日は近隣市のれいわ新選組の議員の皆さんとで京都に視察へいきました。
行き先は京都朝鮮中高級学校とウトロ平和祈念館です。
午前中は京都朝鮮中高級学校へ。
銀閣寺の近くです。現地集合だったので方向音痴である私は不安を抱えつつ、なんとかたどりつきました。
文(ムン)校長が出迎えてくださり、まずは校長室でお話を聞かせてもらいました。
京都朝鮮中高級学校では現在約135名ほどの生徒が在籍しています。
中学生約70名、高校生は約65名。
2010年では生徒数は235名だったそうです。
年々減ってきていて、その理由は少子化だけでなく、経済面、社会情勢などがあるとのこと。
経済面で朝鮮学校へ通えない生徒がいる背景としては、2010年に始まった高校無償化制度が朝鮮学校には適用されていないことがあります。授業料は中学校は月々3万円、高校は4万円、給食はありません。物価高もあいまって、手が届かないとして諦める家庭が増えていることが生徒数減少の理由の一つとなっているのです。
さらに、北朝鮮のミサイル発射により、北朝鮮への反感が広がり、学校へのヘイトや襲撃を恐れた生徒や両親が朝鮮学校への進学を断念したり、日本の学校へ転校することがある、ということでした。
このような背景から生徒数が大幅に減ってしまったとのお話でした。
朝鮮学校と言っても今は生徒のバックグラウンドも多様化してきています。
両親のどちらかがロシア人だったり、アメリカ人だったりする生徒もます。
多くの朝鮮籍の在日コリアンは1965年の国交正常化の時に、韓国籍でないと永住資格が取れなかったことから、韓国籍に変えたそうです。
ちなみに京都朝鮮中高級学校の生徒の国籍割合は、朝鮮籍4割、韓国籍5割、日本籍1割です。
2009年に京都朝鮮初級学校で「在特会」からのヘイト行為、襲撃事件がありました。
この事件を聞いた時は腹わたが煮えくりかえり、ヘイターを心の底から軽蔑し、表現しようがない嫌悪感が体の内側から込み上げたことを思い出します。
「日本の恥」そう強く思いました。
そこにいた子どもたち、親はどんな気持ちだっただろうか、考えただけで胸が痛みました。
文校長にその時のことを伺うと、保護者は子どもを守ろうとするから、まちで「オモニ」と子どもが言うと、やめさせていたそうです。
同時に日本人のサポーターも増えたと。「頑張ってください」、この言葉が何よりも嬉しいと。
京都朝鮮中高級学校ではこどもたちに「何のために生きるか」を考えさせ、人生観を大事にすることに軸をおいて教育を進めておられるそうです。
続いて文校長に校内を案内していただきました。
生徒は家では日本語、学校では朝鮮語を話します。バイリンガルです。
私たちが市議だとわかってか、通り過ぎる時にみんな日本語で挨拶をしてくれます。
お辞儀をしてくれる生徒もいて、そのおもてなし精神に感動してしまいました。
校長に朝鮮語で丁寧に元気よく挨拶する子の多いこと。
みんな、、、可愛すぎ!若さ弾けて、こっちも元気もらうわ〜こちらも思わず笑顔です。
まずは高校の授業を見せてもらいました。
歴史、数学、、みんなとっても真剣に先生の話を聞いています。授業はもちろん朝鮮語なので、先生たちが何を話しておられるかはわかりませんが、聞きいってしまうような躍動感ある授業といった感じでした。そして大学進学率は高いようです。昨年は100%だっとか。東京にある朝鮮大学か日本の大学に進んだそうです。
授業風景は友達と机をくっつけてグループになって勉強する生徒や一人で勉強する生徒、様々でした。授業の受け方は前を向かなくてもよくて、自由にしているそうです。いいね〜
そして日本と同じようにモニターを使った授業です。
京都府と京都市、毎年それぞれ150万円ずつ補助金が出るのでモニターはその補助金で購入したのだそうです。
「校舎を改修する費用はないから校舎はボロボロだけど、教材教具は補助金で揃えることができるんです」と校長。
女子生徒はチョゴリを着ています。男子生徒は着ないそうです。同行した他の市議が「男子生徒は何故チョゴリを着ないのですか」と文校長に聞いていました。いつからか女子生徒だけ制服はチョゴリだったそうです。理由はわからないとのことです。理由を探って見たくなりましたがそれはまた別の時に、わかれば報告します。
話を女子生徒のチョゴリに戻します。ヘイターによる事件などがきっかけで、日本の学校の制服と同じ格好の第二制服を着て登校し、学校で着替えるそうです。日本のヘイターはとんでもないなと改めて思います。学生に、子どもに何をさせとるんだと。
そしてどうしても気になる女子生徒が負担する費用。女子生徒は制服代が2倍やん、、と青ざめましたが、毎年在日青年商工会から女子生徒にチョゴリの制服のプレゼントがあるそうです。日本人のヘイターのせいで生徒が倍の費用を負担しなければならないなんてことは、許容範囲を遥かに超えている。いや許容範囲はとっくに超えているのだが。レイシストも、朝鮮学校を学校教育法で一条校と認めない国も、許せるものではない。
中学生の授業も見せてもらいました。
理科の実験はワイワイとした雰囲気の中行われていました。
英語の授業は英検1級の先生によるハイレベルな授業。先生の発音がよかったのが印象的。
音楽の授業は新学年になって1回目の授業で、先生と生徒が自己紹介をしたりして、
楽しそうなお話しタイムから始まっていました。
教室の端には民族楽器と思われる太鼓や鐘が並べられていました。
朝鮮語で書かれた楽譜も所狭しと並べられていました。
授業を一通り見せてもらった後は4階にある体育館も見せてもらいました。高台にある学校の体育館のバルコニーから見る眺めは、木々の緑と京都の街が一望でき最高。
体育館への道中閉まっている保健室の前を通りました。「保健室は週に一回しかあいていません」と文校長。朝鮮学校は各種学校に分類されていて、学校保健安全法に基づく保健室の設置や健診の実施が義務付けられていません。保健室の先生を自前で配置せねばならず、配置したくても難しい現実があります。日本では多くの学校で保健室は教室が息苦しくなった子どもの憩いの場となっています。保健室に常勤の先生がいないことを文校長は悲しそうにお話しされていました。
朝鮮学校の視察が終わりました。
視察中は生徒同士や先生同士、生徒と先生の会話が朝鮮語で聞こえてきて終始ワクワクした気持ちを抑えられずにいました。
カナダを懐かしく思いました。異文化交流、多様性に富んだ社会が落ち着くんですよ。だからカナダに住み着いたわけですが、、気づけば生徒たちに「アンニョーン!」と挨拶している私でした。
楽しかった。いい学校だなーと思いました。
先生の学歴とかそういうことではなく(京大出身の先生もいらっしゃいましたが)、「何のために生きるのか」、を考える教育だからなのでしょうか。
進学率もいい。「教師、生徒、保護者の意地もある」と文校長。
地域の日本人とは良好な関係で、協力しあっているとのこと。お互い顔を見て付き合えば、バックグラウンド関わらずいい関係が作れるものです。そしてここの生徒と会えば地域の人も笑顔になるのだろう、と思いました。
差別してくる日本人がいるけれど、サポーターの日本人もいるということを知っている生徒たち。そして、自分のアイデンティティーを考える。カナダでもいろんなバックグラウンドのカナダ人がアイデンティティについて口にしていたことを思いだす。自分のルーツ、言語、アクセント、読み書き、見た目、食べ物、文化、宗教、住む場所、そして社会構造、、マイノリティであるということは、常に自分の置かれている状況を、そして自分とは何者かを考えさせられることなのです。それは多数者または社会的強者にはわからない。
そしてここの生徒は社会を悲観ではなく俯瞰して見ることができているのではないか、そう思いました。
滞在2時間でわかったつもりにはなっていませんが、色々考えさせられました。人権を学ぶ旅はまだ始まったばかりです。そして終わりはないと思っています。
コマウォ!アンニョン!(ありがとう、また会おう)