2026年3月議会個人質問 年末年始における困窮者支援体制/通告後48時間ルールの実施状況
年末年始における困窮者支援体制について
山田:
先行きの見えない不安の中、まさに、生活の瀬戸際に立たされている市民がおられます。その現実を、私はこの年末年始も休まず活動、無料で食事を提供する市内民間団体の食堂で目の当たりにしました。
定員15人ほどの食堂は、午前10時から午後1時まで常に満席。外には市民が途切れることなく列をなしていました。中にはお腹を空かせた子どもたちが、一心におにぎりを頬張る姿もありました。小さなお子さんの姿もありました。そして驚いたのはこうした子どもたちが市の支援に繋がっていなかったという事実です。多くの公的機関が休みに入る年末年始こそ、支援を必要とする市民が孤立するリスクが最も高まる時期です。私は「これが今の豊中市の現実なのか」と、愕然とせざるを得ませんでした。この「支援の漏れ」を、市はどう受け止めておられるのでしょうか。民間団体が懸命にセーフティーネットの役割を果たしていた一方で、行政の対応はどうなっていたのでしょうか。
年末年始、生活に困窮した市民がSOSを発したい場合、市はどのような相談体制を整えておられますか。また、その相談先は、支援を必要とする人々に届く形で周知されていたのでしょうか。
この民間の食堂には、自力で情報を得て辿り着いた方だけでなく、市や関係機関から「あそこなら食べさせてもらえる」と聞いて来られた方もいます。
市は、生活困窮の市民に対し、これら民間団体が運営する食堂を「支援先」として案内することがあるのでしょうか。お答えください。
市民協働部:
市では、年間をとおし、生活困窮者自立相談支援機関である3つの相談機関が、年末の勤務日まで生活に困ったときは民生・児童委員などからの情報によるアウトリーチや貸付相談からの困窮相談へのつなぎを含め相談できる体制をとっており、年末年始の閉庁時までは対応しておりません。しかしながら、既に相談機関に繋がっているケースのうち、気になるケースは、年末の休業前に面談や電話で状況を確認したうえで、民間団体が運営する食堂を含め食糧や居場所の支援について情報提供しています。年始にも、面談や電話でご本人や家族の状況を確認し、適切な支援につながるよう対応をしております。
相談窓口については市ホームページ、関係機関との連携などを通じて周知を行っております。
山田:
ご答弁で、年末年始の閉庁期間は「対応していない」こと、そして市が「民間食堂を支援先として案内している」実態が明らかになりました。
年末年始の生活困窮の支援の現場では、市の相談機関に繋がっていない市民も多数おられました。市が「周知している」というホームページにある相談窓口の情報を、今日食べるものがない全ての市民が検索できるとお考えでしょうか。
年末年始に発生する「新規のSOS」を受け止める場所が、今の豊中市には決定的に欠けています。行政自らが「切れ目のない支援」の責任を果たすべきではないでしょうか。
そこでお尋ねします。 年末年始の閉庁期間においても、食事が提供され、暖を取れる『公的な臨時避難所』を豊中市として、設置していただけないでしょうか。
市民協働部:
相談支援は年末年始の閉庁時期に限った話ではなく、通常業務の中で実施しております。事案に応じて緊急対応が必要な場合は、即応体制をとっていることから、年末年始に限定した支援事業を実施する予定はありません。
子どもの貧困対策において、支援機関が閉まっている時の支援
山田:
子どもの貧困について、こども家庭庁はHPで「経済的困窮にとどまらず、学習、生活、心理面など、その後の人生に多大な影響を及ぼす」とし、「家庭のみの責任とするのではなく、社会全体で解決することが重要である」と明示しています。
認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンの調査によれば、低所得のひとり親家庭の約8割が「年末年始の家計が苦しい」と回答し、6割が物価高騰の影響で「十分な食料を買えなくなった」と訴えています。
それだけではありません。冬休み期間中は学校や相談機関も閉まるため、ネグレクトや家庭内暴力の兆候が外部から見えなくなる「見えない孤立」が発生します。行政の窓口が閉まっている期間、孤立した子どもたちのセーフティーネットはどうなっているのでしょうか。
そこで伺います。年末年始の閉庁期間中、食事や安全を脅かされている子どもに対し、市としてどのような支援・見守りの仕組みが機能していたのか。また、市独自の直接的なアプローチはあるのか。お答えください。
子ども未来部:
年末年始期間等窓口閉庁時における子どもからの対応につきましては、
24時間365日対応のとよなかっ子ダイヤル及びこども総合相談窓口でご相談を受け付けており、自殺企図など緊急性の高い場合には、市職員が対応する仕組みになっております。
また、こどもの安全が脅かされている場合には、児童相談所の虐待対応ダイヤル189でご相談を受け付けております。
なお、生活困窮等により食料に窮するリスクがある家庭に対しては、年末迄に状況を確認し、食料が不足している場合には、関係機関と連携し食料支援などを実施しています。
山田:
『電話やLINEでの相談窓口は開けている』とのご答弁をいただきました。しかし、想像してみてください。虐待をうけ、本当にお腹を空かせている子どもが、手元のスマートフォンでLINEを送り、相談員からの返信を待つだけで、空腹が満たされるでしょうか。孤独が癒えるでしょうか。
窓口はあくまで入り口に過ぎません。その先に、物理的な「食」や「安心できる居場所」がセットでなければ、それは真の意味での支援とは呼べません。
豊中市は、次年度予算案の重点項目に、何と掲げておられるか。 『切れ目のない支援で、子どもを社会全体で守り育てる』こう高らかに宣言されています。
そこでお尋ねします。この切れ目とは一体何を指すのでしょうか。年末年始、学校給食が止まり、多くの支援機関が休みに入り、役所までもが扉を閉ざす。この約1週間の空白期間こそ、子どもたちにとって最も過酷な「切れ目」そのものではないですか?
こども未来部:
重点項目の「切れめのない支援」とは、複合的な課題を有するこどもや家庭に対する支援のほか、年齢により利用可能な制度が変わる場合などに関係機関が連携し切れめなく包括的に支援することを表現したものです。そのため、切れめとは、支援する機関や制度の切れめのことをさします。
食料が不足する等の困窮状態は、年末年始に限らず常態的なものであることから、平素からそうした状態にあるこどもを発見し、支援につなげる事が重要だと考えています。
その為、こども園や小中学校等関係機関と連携し、困難を有するこどもの発見に引き続き取り組んでまいります。
山田:
もし本気で「子どもを社会全体で守る」と仰るのであれば、行政がその先頭に立ち、この空白期間を埋める具体的な支援策をうちだすべきではないでしょうか。強く要望します。
児童育成支援拠点事業
山田:
ここまで、行政の閉庁期間における『相談窓口』や『支援や見守り』の体制について伺ってきました。しかし、相談の先に、子どもたちが実際に身を寄せ、空腹を満たせる『物理的な居場所』がなければ、支援は完結しません。そこで、本市の地域における支援の要となりつつある『児童育成支援拠点』において、この年末年始の空白の取り組み状況について具体的に伺います。
まず、児童育成支援拠点が担う役割と、年末年始について開設を想定していない理由をお示しください。
あわせて、年末年始の過ごし方に不安を抱えるこどもをどのように把握しているのか
また、そのようなこどもがいる場合の支援についてもお伺いします。
こども未来部:
児童育成支援拠点は、食事提供に加え、生活習慣の形成や学習支援、送迎、さらには保護者との丁寧な関係構築などを含め、こどもと保護者の状況を深く理解したうえで継続的に支援することを重視した事業です。
普段からこどもと関係を築いているスタッフの支援体制が前提となるため、年末年始に開設を一律に求めることは難しい状況にあります。
また、拠点を利用しているこどもの家庭の中には、年末年始に食料面などで不安を抱える場合もあることから、受託事業者等を通じて家庭の状況を把握しております。
そのうえで、休みに入る前に食料を届けるなど、個々の状況に応じた支援を行うことで、年末年始においても支援が途切れないよう対応しているところです。
山田:
いまのご答弁では、年末年始の開設は想定していないとのことでした。
しかし、特に食の面で心配な家庭もある中で、拠点同士が連携し、輪番体制などで最小限の開所を確保することはできないのかという点について伺います。
こども未来部:
児童育成支援拠点は、本来、しんどさを抱える子どもと継続的かつ深い関わりを持つことを目的とした事業であるため、普段利用していない拠点で受け入れる形にすると、その趣旨から外れるおそれがあるため、輪番での開所については考えておりません。
また、支援が届きにくい子どもやその家庭については、平素より、早期に児童育成支援拠点など必要な支援につなぐ体制づくりが重要であると認識しております。
山田:
意見・要望
登録があっても通所できていない子どもが一定数いると聞きおよんでおります。「平素の支援」が重要だからこそ、その平素の網から漏れている子どもたちの存在をどう支援に繋げるか、工夫が問われています。年末年始の寒さと空腹の中に、子どもを置き去りにしないよう、運用形態の柔軟性もさることながら予算と人員の適切な配置を強く求めます。
児童相談所、通告後48時間ルールの実施状況
山田:
児童虐待から子どもの命を守る砦として、児童相談所の初動対応には極めて高い精度とスピードが求められます。 虐待通告受理から48時間以内に児童の安全を確認する、いわゆる「48時間ルール」について、厚生労働省の指針では「原則として子どもの姿を直接目視して確認すること」と定められています。
そもそも、なぜ「48時間以内」という迅速な対応が求められるのか、また、電話や周囲への聞き取りではなく、なぜ児童相談所の職員が「直接目視」で確認しなければならないのか。その重要性について、市の見解を伺います。また、本市では、虐待通告を受けた際、この「48時間以内の直接目視による確認」を徹底されていますか。また、児童相談所の職員が担うのか、あるいは関係機関に委託・依頼するケースがあるでしょうか。関係機関に委託・依頼する場合、その判断基準と理由を具体的にお答えください。加えて、開設以来、受理した虐待通告件数は何件ですか。また、そのうち「48時間以内に児童相談所の職員が直接目視で安全を確認した件数」をお示しください。
加えて、保護者が訪問を拒否するなど、48時間以内の直接確認が困難なケースにおいて、警察との連携や立ち入り調査(臨検)をどのように発動する体制になっているか伺います。
こども未来部:
「48時間以内」の迅速な対応が求められる理由については、過去に初動対応の遅れが重大な結果を招いたケースが発生したことからで、また、児童相談所職員が直接確認することは、緊急一時保護の要否を判断するうえで必要不可であるからです。
虐待通告を受理した全ケースについて、原則48時間以内の直接目視による安全確認を実施しております。しかし、対象となるこどもが特定できないケースや、継続して訪問しても面会ができないケースもあり、その場合は関係機関と連携しながら情報収集や再訪問を重ねて、可能な限り迅速に安全確認を行っております。
次に、こどもの安全確認については、リスクアセスメントにより緊急性や重症度が高い場合は児童相談所職員が、緊急性や重症度が低く、継続性が認められない場合は、学校やこども園、保健センター、福祉事務所などの職員に対して、目視確認の協力依頼をしております。この場合で
あっても、責任の主体は児童相談所にあることに変わりはありません。
目視を依頼する理由として、こどもの年齢や発達段階を踏まえ、日常的にこどもと関わっている所属機関等に具体的な観察ポイントを伝えることで、こどもに精神的な負担をかけず、様子の変化等も含め、信頼性の高い情報を収集できるからです。
次に、虐待通告や安全確認に係る件数につきましては、速報値となりま すが、本年1月31日時点での虐待通告件数は1,916件で、48時間以内に職員または依頼した者が直接目視で安全確認を行ったのは1, 840件、そのうち児童相談所職員の確認は181件、共同対応してい るこども安心課が197件でした。旅行や帰省などで留守の場合や保護 者の強い拒否など48時間を超過した件数は58件、こどもを特定でき ないなどの不明は18件でした。
48時間以内の安全確認を依頼している場合においても、基本的に児 童相談所の職員が追って、こどもや保護者の面接等を行っております。
保護者が正当な理由がなく訪問を拒否するなど、48時間以内の直接確認が困難なケースについては、警察への援助依頼を行い、協議の上「立入調査」を実施して安全確認を行っております。本年1月31日現在1件ありました。
また、実績はありませんが、立ち入り調査を実施してもなお、安全確認ができず生命や身体に重大な危険があると判断されるケースにおいては、裁判所の許可状に基づき警察とともに臨検・捜索等を実施することになります。
山田:
1916件のうち児童相談所が直接目視をした件数が181件という数字に驚きました。この件、またの機会に改めて詳しく伺いたいと思います。
「追って児童相談所職員が面接している」とのことですが、それは通告から何日以内のことなのでしょうか。今日は時間がないので、この件についても機会を改めて詳しく伺います。
緊急性や重症度が低いと判断される場合、学校やこども園、保健センター、福祉事務所等の職員などに対し、目視による安全確認を依頼しているとのことでした。
児童相談所職員以外の「協力者」が目視を行った際、万が一、虐待の見落としや判断ミスが生じた場合、その責任は誰が負うことになるのか。最終的な責任主体はあくまで本市児童相談所であるという認識で相違ないか、伺います。
また、通告があった段階で「緊急性や重症度が低い」と判断し、児相職員自らが動かないことへのリスクについて伺います。虐待の重症度や緊急性を正確に把握するためには、専門的知見を持つ児相職員が直接子供の状態(表情、顔色、不自然な傷、親との距離感など)を目視することこそが不可欠ではないでしょうか。「直接目視しなくても、緊急性が低い」と判断する具体的な客観的基準は何ですか。また、その判断は「誰が」行っているのですか。現場の担当者レベルの判断なのか、会議等で組織として決定しているのか、そのプロセスを明確にお答えください。
こども未来部:
目視を依頼する関係機関については、先述の機関に加えて、児童発達支援センター、児童育成支援拠点、放課後等デイサービス、社会福祉協議会などこどもと家庭に日常的に関わっている機関です。
繰り返しとなりますが、こどもの安全確認の最終的な責任の主体は児童相談所であると考えております。
緊急性や重症度の判断については、大阪府共通のリスクアセスメントシートに基づいて行っており、「児童相談所運営指針」に基づき、受理会議・援助方針会議で総合的に判断し、組織として決定し対応しております。
山田:
最後に意見と要望を述べます。
通告後48時間以内の児童相談所職員による直接目視がわずかに留まり、その多くを関係機関に依存している現状は、専門機関としての初動体制に大きな不安を残すものです。
関係機関との連携は重要ですが、それはあくまで補完的なものであるべきです。通告直後の「直接の目視」にこそ専門職の知見が必要です。それを、学校やこども園、保健センター、福祉事務所児童発達支援センター、児童育成支援拠点、放課後等デイサービス、社会福祉協議会など、仮にこれらの機関が日常的に子どもや家庭と接していたとしても、専門的な知見を持つ児童相談所以外の関係機関に委ねる運用が常態化すれば、重大なサインを見落とすリスクを排除できません。
「責任の主体は児童相談所にある」という答弁を重く受け止め、関係機関任せにせず、可能な限り児童相談所から専門職員が現場に赴く体制を強化すること。アセスメントシート上の判断のみならず、少しでも疑いがある場合は迷わず児童相談所が主導して「直接目視」を行う運用を徹底すること。これらを強く要望します。
本市は、市民の期待を背負って自前の児童相談所を開設しました。
子どもの命がかかっています。市独自で設置した強みを活かし、これまで以上に、そしてどこよりも手厚く強固な体制を構築することを強く求め、私の質問を終わります。