建設環境常任委員会2024年度決算審議〜都市基盤部編
バリアフリー化の推進
山田:
今年の5月,国は建築設計標準(障害者や高齢者を含むすべての利用者が使いやすい建築物にするためのバリアフリーの仕様書)の別冊として「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」を出しましたが、実は豊中市はその3ヶ月前に当事者参画型のバリアフリー検討会の実証実験を行なったとのことで伺っております。バリアフリー検討会の対象となる施設の基準と2024年度に実施した箇所を教えてください。
都市基盤部(基盤整備課):本検討会の対象施設の基準は、不特定多数の利用が多い市有施設のうち、建築物においては、床面積2,000平方メートル以上の新築・増築をする部分を対象としており、R6年度に実証として、豊中つばさ公園「ma-zika」を対象に当事者参画を実施しました。
山田:バリアフリー検討会の実証の結果、検討会参加者からどんな意見をいただきましたか。改善点などもあれば合わせてお答えください。
都市基盤部(基盤整備課):参加者からは「バリアフリートイレに大人でも使用できるベッドを設置してほしい」「障害のある子もない子も遊べる遊具を設置してほしい」「子どもや車椅子使用者でも使いやすい水飲み場を設置してほしい」といったご意見をいただき、設計に反映することができました。検討会全体として、施設のオープン前に議論ができたことが大変有意義であったと評価をいただいております。その一方、資料作成や検討会当日の情報提供、会場でのサポートなど参加者の方々の状況に必要な対応等に、ご意見もいただきました。これについては、今後の運営に当たっては改善を重ねてまいります。
山田:当事者からでた意見を設計に反映することができたとのことで、検討会の実証が大変有意義であったことがわかりました。検討会実施にあたっての改善点についてもご意見あり、今後の運営に生かされていくとのことで、了解いたしました。
今後の展開についても教えてください。
都市基盤部(基盤整備課):基準設定に当たって、小規模な建築物、公園、道路と言って施設につきましても、その対象基準を現在検討しているところであり、国が策定した「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」 なども参考にしながら、バリアフリー推進協議会にて引き続き検討を勧めてまいります。また、民間施設についても、当事者参画が積極的に実施されるよう、事業者にとっても活用しやすい仕組みづくりを継続して進めてまいります。
山田:意見・要望です。このバリアフリー検討会は市有施設のみだが,「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」の対象となる建築物は「不特定多数の者が利用する建築物又は主として高齢者・障害者等が利用する建築物を対象とし、公共建築物、民間建築物の別を問わない」となっていますので、当事者参画を推し進める方向性を要望しておきます。昨年度、国に先駆けて立ち上げられた当事者参画のバリアフリー検討会を実証実験まで辿りついたということで大いに評価します。今回当事者参画の検討会が動き出し今後も頑張っていただくとのことで伺っていますが、以前と比べてどういった成果を出されるのか、違いについて楽しみにしています
放置自転車等防止事業
山田:駅前駐輪場の整備状況やその収入、課題と対応について教えてください。
都市基盤部(交通政策課):まず、駅前駐輪場の整備状況ですが、豊中駅など主要駅周辺の「自転車等放置禁止区域」において、市の使用許可などに基づき運営している駐輪場は36施設ございます。
その内訳は公益財団法人の「自転車駐車場整備センター」によるものが32施設、民間事業者によるものが4施設で、許可の使用料などで2154万9千90円の歳入がございました。
次に課題ですが、先の民間事業者による4施設、具体的には緑地公園駅及び曽根駅の駐輪場については、民間事業者自らが管理、運営を行うモデル地区として位置付けており、今後、この手法について評価を行うとともに、市内駐輪場の在り方についても検討をすすめてまいります。
山田:課題としては民間事業者が運営を行う一部モデル地区の駐輪場のあり方について、今後検討を進められていくということで了解しました。では駐輪場での市民や高校生など、利用者の声を聴く場について、現在どういう取り組みがあるのか教えてください。
都市基盤部(交通政策課):利用者の声を聴く場についてですが、ご意見を寄せていただくための「ご意見ボックス」や、「お問い合わせ案内板」を事業者が管理する各駐輪場に設けている他、「市民の声」や「電話」などを通じて直接、氏にご意見をお寄せいただくことも可能です。
また、いただいたご意見については、事業者と共有しながら改善に努めており、これまで新たに大型の子ども乗せ自転車が優先的に駐輪できるスペースを確保した他、今後は新基準原付の普及状況に注視し、これに対応可能な駐車スペースの確保に務めると言った取り組みも進めてまいります。
山田:意見を事業者と共有しながら改善に努めておられるとのことで了解しました。障害者や子育て世代や学生を入れた議論の場を作っていくことも視野に入れていただくことを要望しておきます。
次に駐輪場でのニーズに関連して、障害者等が自転車を交通用具として利用するニーズの把握についてお聞かせください。
都市基盤部(交通政策課):障害のある方の自転車利用のニーズについてですが、改めて、頭部における「豊中市バリアフリー推進雇用議会」を通じて当事者の方から直接ご意見をお伺いするほか、障害福祉課など関係部局と連携して、その把握に努めてまいります。
山田:以前も取り上げたことがありますが、広島市や福岡市で障害がある方の自転車利用対象者にシールを配る、自転車の撤去免除制度について、課題もあるかとは思いますが費用負担もほぼなく、クレームやトラブルもなく広島市や福岡市ではうまく機能していると聞いています。まずはニーズ把握に努めていただけるとのことで、よろしくお願いいたします。
維持補修事業について
山田:道路舗装事業及び維持補修事業について、事業内容をお聞かせくだ さい。
都市基盤部(維持修繕課):道路舗装事業は、生活圏道路を良好な状態に保持することを目的とし ており、道路パトロールや市民からの要望に基づき、老朽化した道路 舗装の更新を実施するもので、決算額は約9,678万3千円になり ます。 維持補修事業は、街路樹の日常的な維持管理や道路の維持修繕・清掃・ 除草などを行っており、決算額は約3億6,924万9千円になりま す。
山田:修繕要求の声をどのように集めておられますか。市民の満足度は どのように確認されていますか。お聞かせください。
都市基盤部(維持修繕課):まず、修繕要求の声の集め方ですが、電話による直接のお問い合わせの ほか、本市公式ラインにおける「道路・公園等の不具合通報」が主な手段 となっております。 次に市民の満足度ですが、特にアンケート調査などは実施していないも のの、工事を行う際は事前に要望者や近隣住民の皆様にお知らせをして おり、後日お礼の連絡をいただくこともございます。
山田:当該事業、直営でも対応されているとのことですが、災害時などの対応含めて道路補修にあ たる際において、民間業務委託の対応との違いを教えてください。
都市基盤部(維持修繕課):直営と委託による対応の違いですが、一番異なる点は要望をお受けして から対応に至るまでの「即応性」にあると認識しております。 ・特に閉庁日においても、緊急を要する軽微な修繕については直営業務で 即日に対応しており、万一の災害時における関係機関との調整や復旧作 業などにも対応できるものと考えております。
山田:直営部分での対応には即応性があり、特に閉庁日や軽微な緊急修繕などにおいては即日対応が可能、そして災害時においても対応できるとのことで直営部分の職員さんは道路の安全維持において不可欠な存在であり、大事な役割を担われていることがわかりました。
地元民間事業者への委託は地域産業を発展させていく観点からも必要なことですが、直営の先細りを避けるために自前で人員確保の方針や計画が必要かと考えます。 直営部分の職員の年代構成についてお答えください。
都市基盤部(維持修繕課):職員の年代構成ですが、正規職員37名のうち、60代5名、50 代22名、40代7名、20代3名となっております。
山田:意見・要望です。道路舗装事業及び維持補修事業において、その即応性や緊急対応が可能というところなどで直営部分の職員間での技術の継承が必要です。30代から若い職員さんが極端に少なくなっている要因に、4年前までしばらく技能職の新たな採用を行っておられなかったと聞いています。3年前から技能職採用の再開となって、現在20代の職員さんが増えてきているとのことですので、引き続き技能職採用の継続を要望します。
道路陥没の対策について
山田:埼玉県八潮市で発生した下水道管路の破損に起因した道路陥没事故を受けて、本市では緊急の点検を行われたとのことです。点検の内容及び結果について教えてください。
都市基盤部(基盤保全課):本市での緊急点検は国土交通省から通達された事務連絡に従い、原田処理場に接続する口径2m以上の下水道管2.5kmで実施し、市独自の対応として庄内処理場に接続する口径2m以上の下水道管5kmにおいても実施しました。点検結果につきましては、原田処理場及び庄内下水処理場に接続する下水道管において大規模な陥没につながる異常は確認されませんでした。
山田:市独自でも自主的に口径2m以上5kmにおいても点検を実施してくださったとのことです。国から通達のあった緊急点も含めて陥没につながる異常は確認されなかったとのことです。
では上下水道局に伺います。日常における下水道管を起因とする道路陥没を防ぐための取り組みについて教えてください。
上下水道局:下水道管に起因する道路陥没等の事故を未然に防止する対策として、ストックマネジメント計画に基づく下水道施設の改築更新事業に加えて、陥没の主な要因となっている老朽化した下水道取付管の更新事業を、計画的かつ効率的に進めております。
また、腐食するおそれが大きい下水道管路やマンホールの5年に1回の法的点検、市内全域を対象とした下水道管路の10年サイクルでの巡視点検により、施設の異常の早期発見及び修繕に努めているところであります。さらには、都市基盤部と連携しながら路面下空洞調査にも取り組んでおります。
山田:道路陥没防止のため、ストックマネジメント計画に基づき下水道施設と老朽化した取付管の改築・更新を計画的に進めておられるとのことでした。また、法的点検や巡視点検で異常の早期発見と修繕に努め、都市基盤部と連携しながら路面下空洞調査も取り組んでおられる、ということでしたので、都市基盤部に伺います。2024年度実施の路面下空洞調査の調査結果と対応状況についてお聞かせください。
上下水道局:令和6年度の生活道路路面下空洞調査では、新たに89箇所の異常箇所を発見し、令和元年度に経過観察とした168箇所を含め257箇所の異常箇所がありました。緊急対応が必要なところは11箇所で、すでに処置が終わっており、早期に補修が必要な24箇所を順次対応し、残りの222箇所を計画的な補修や経過観察としてまいります。
山田:埼玉県八潮市でも違いがあれども、下水道管を起因とする道路陥没を防ぐための取り組みを行ってこられたと思うのです。このような事故を受け、豊中市の現在の取り組みについて、見直しが必要と思います、市の見解をお聞かせください。
上下水道局:国土交通省が設置した有識者会議である「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」の提言書を基に今後、下水道の点検方法の見直しや施設管理のあり方
などについて、新たな基準などが示されることが考えられますので、その動向に注視し検討してまいります。
山田:点検の強化について、どこまでやれば正解なのか未知数の中、わかっていることは、大規模な陥没事故は一度たりとも起こってはいけないということ思うのです。
下水道施設本体に加え、陥没の主要因となっている老朽化した下水道取付管の更新事業について、引き続き計画的かつ効率的な推進、そして財政計画に基づいた、更新ペースの維持・加速に努めてください。
また、点検・補修を担う人材の育成と技術力の維持・向上や、大規模陥没につながる恐れのある箇所や腐食リスクの高い箇所について、常に新たな知見や技術を取り入れ、リスク評価に基づく点検・改築の重点化を検討し、対策の精度を高めていただきたいと思います。
都市基盤部と下水が連携して取り組んでいる路面下空洞調査について、発見された全異常箇所への対応を遅滞なく実施し、市民の安全確保を最優先することを強く要望します。