福祉部編〜2025年3月市民福祉常任委員会【予算委員会】
「障害福祉サービス費等支給決定・支払事務」事業・同行援護について
山田:「障害福祉サービス費等支給決定・支払事務」の事業でもある同行援護について伺います。事業の対象者及びサービスの利用内容、また、利用時間における基準について教えてください。
福祉部・障害福祉課:視覚障害により移動に著しい困難を有する障害者に対し、外出時において当該障害者に同行し、必要な情報を提供するとともに、移動の援護、排せつ及び食事等の介護、その他の外出に必要な援助をするものです。なお、同行援護支給量の基準として1か月あたり50時間と定めております。
山田:同行援護の利用実績について伺います。過去3か年における1カ月当たりのサービス利用量の平均時間数及び平均利用率を教えてください。
福祉部・障害福祉課:1カ月当たりのサービス利用量の平均時間数につきましては、令和3年度24.1時間、令和4年度25.1時間、令和5年度25.8時間。また、平均利用率は令和3年度37.6%、令和4年度39.8%、令和5年度39.6%となっております。
山田:ニーズについてどのように把握されているのでしょうか?アンケートがあればその結果も含めてお聞かせください。
福祉部・障害福祉課:障害者長期計画をはじめとした計画策定に係るアンケート調査時に項目として設定し、ニーズ把握に努めております。令和5年度に実施したアンケート調査の結果では、「利用サービスの不満点の有無について」のうち同行援護に係る回答では、不満がある44.0%、不満がない38.5%、無回答が17.6%となっており、不満の理由としては「利用したい日・時間に利用できない」、「利用回数・時間などに制限がある」との声がみられました。
山田:意見要望です。2023年度に実施のアンケートの結果では38.5%の方が不満がないと答えたのに対して44%の方が不満だと答えたとのことです。主な不満の理由で一番多かったのは利用したい日や時間に利用ができない、これは60%となっているんですね。ご答弁にありました最新の利用率は39.6%でしたがこれは利用したい日、時間に利用できないことが大きく関連するのではないでしょうか。主な理由には「他にも利用回数や時間などに制限がある」がありましたが、やはり50時間ではたりないのではないでしょうか。年間5時間など少しでもいいので支給量をあげていただきたいと要望しておきます。以前伺いました支給量が40時間の「移動支援」についても、他にもっと出している市もあるようですので、こちらについても支給量をあげていただくよう合わせて要望します。障害福祉サービスは他にもありますが、ヘルパー利用全般について支給量が適切であるかはアンケート結果を踏まえながら個別に検証いただき、
必要な時間数の支給に近づいていけるよう検討をお願いしておきます。ヘルパーの確保あってのことだと思います。初任者研修は全体で8つほど拡充するとのことです。これについてはありがとうございます。
訪問介護報酬及び事業所の状況
山田:厚労省は2024年度、他の介護サービスと比較して利益率が高いとして訪問介護の基本報酬を2〜3%引き下げました。他の介護サービスと比較して利益率が高いのはサービス付き高齢者住宅などが同一の建物内で、複数世帯を効率よく回れるケースもあることが高い利益率の要因だとされていて、小さな事業所の場合は利益率が高いわけではなく、基本報酬の引き下げで廃業に追い込まれてしまうのではないか、という危惧について指摘させてきていただいておりました。
過去3年間の訪問介護事業所の新規指定数、廃止数についてお聞かせください。
福祉部・長寿政策課:新規指定数は、令和 4 年度:14 事業所、令和 5 年度:15 事業所、令和 6 年度:16 事業所です。
廃止数は、令和 4 年度:11 事業所、令和 5 年度:18 事業所、令和 6年度:4 事業所です。
今年度の今の所の把握が、新規指定数は16事業所、廃止数は4事業所とのことでした。
山田:以前より訪問介護報酬の引き下げにより小規模の事業所などの廃止が懸念されると指摘させていただいてきておりましたが、増えた、廃止になった事業所がサービス付き高齢者住宅なのかどうか、小規模事業所だったのかどうかを知る必要があると考えております。
それでは、従業員数や収益、系列事業所の有無や提携状況など事業所の
種類や規模別での事業所数は把握されているのでしょうか?市として把 握が必要だと思いますが、見解をおきかせください。
福祉部・長寿政策課:訪問介護事業所のグループ企業など経営形態や規模については、
指定時において介護サービス提供体制の届出を要する情報となっておりません。○ しかしながら、国の審議会においても事業所規模による影響を調査していく必要性が議論され、今年 5 月に実施予定の「介護 事業経営概況調査」では、訪問先のサービス種類や交通手段を はじめ、収益等の調査項目が追加されています。 市内の訪問介護事業所につきましても、アンケート調査やヒアリングを行い、実態の把握に取り組んでまいりたいと考えます。
山田:次年度に市内の訪問介護事業所に対し実態の把握に取り組んでいただけるとのことでよかったです。市内事業所の新規指定数や廃止数、処遇改善加算の取得率、単に数字を見ただけでは見えてこない実態がありますので、よろしくお願いいたします。
介護報酬引き下げ後、94%の市内事業所が処遇改善加算を取得しているとのお話を伺っておりますが、もっと現場に寄り添った詳しい実情を検証する必要があると考えます。
へルパー不足が起因する諸課題の把握があると思いますがお聞かせください。
福祉部・長寿政策課:まず、要介護者等の在宅生活における身体介護や生活介護のサービス提供体制に混乱をきたし、サービス受給に支障をきたす影響が考えられます。また、その他にも当たらな利用者の受け入れ困難、職員一人当たりの負担増、サービスの室への影響が懸念されるなどの課題が想定されます。市としては、人材確保事業とともに、事業者が自ら行う処遇や職場環境の改善、生産性向上につながる取り組みを支援してまいりたいと考えます。
山田:訪問介護員の不足により利用者の受け入れ困難、職員一人当たりの負担増、これらの課題によってサービスの質への影響が懸念されるとのことでした。訪問介護員の不足によって、今実際に起こっている課題にはこいういったものもあるようです。利用者や現場から声が届いておりますので共有させていただきます。「人手不足で地域のヘルパー事業所は撤退するところが出ている。」逆にこういう声もあります。「サービス付き高齢者住宅やその関連のヘルパー事業所ができている。」他には「ヘルパー不足により1人の利用者に対し複数の事業所に派遣依頼している実情があり、連携が取れない怖さがある。」という声もあるそうです。複数の事業所に派遣依頼している場合でこんな声もあります「要介護者に朝の介護、昼の介護、夕刻の介護のケアプラン立てても人手不足で数箇所のヘルパー事業所に依頼せざるを得なくなり、毎日同じ時間に入れないこともあり、利用者が混乱してしまう。」「実際重度の要介護者で生活支援と身体介護がスムーズにいかずヘルパーがくるはずの時間帯に誰もこない」というケースが過去にあったそうです。他には「同性介護を希望しても叶わないことがある」などもあります。
ケアマネの実態に関する話も聞いています。「件数の上限を政府がどんどん上げていくので過重労働になりやめていく。」「原則1人なので体調が悪くても休めない、こういった働きにくさからベテランのケアマネーじゃーがいなくなりつつある。」とのことです。
豊中市はこういった市内訪問介護の現場の声を、事業所を呼んで開く協議会などの話し合いの場や機会を作るなどして聞いていただき、実態をしっかり調査、把握いただき、独自の問題点を明らかにし、低賃金労働をどう緩和するか、市独自で考えていただき、独自の改善策を要望し、この質問を終わります。
要介護認定調査について
山田:介護度を認定調査する際に、以前利用者に渡していた認定調査メモの控えを渡すことが
なくなったと聞いていますが、廃止に至った理由と現在の運用状況について教えてくだ
さい。
長寿安心課:認定調査の項目の中には、評価が一般的なイメージと異なるため、控
えを渡すことにより実際の状態や調査内容についての誤解が発生して
いました。
・また、認定調査の情報だけで介護度が判断されないにもかかわらず、
確定情報と勘違いされてトラブルになることが少なからずありました
。
・このため、近隣市においては控えを渡していない状況も確認したうえ
で、令和6年3月末をもって控えの提供を終了しました。
・現在は、ご家族等が同席しやすいよう土日や時間外にも認定調査の対
応日時を広げることに加え、調査時に質疑応答する機会を設けるなど
、ご本人や同席されたご家族が安心していただけるよう、調査内容を
より丁寧に説明しています。
山田:意見・要望です。認定調査票、調査員が利用者に行う要介護認定調査の際にお年寄りはできないとこをできるふりをしてしまうことがあるそうです。できないことをアピールしようと思っても、できるんだと振る舞ってしまう、そういうことがあるそうです。認定調査票は後で家族が確認するなどし
てこのように「できないことをできる」といってしまい、そのまま判定されてしまうことを防ぐために役立っていたそうでうす。今後はできるだけご家族やケアマネージャーと同席してもらうように工夫していただけるとのことですので、できるだけ丁寧に対応していただけますようにお願いいたします。
扶助費支給事業
【家族介護料】
山田:昨年11月堺市で生活保護の家族介護料支給漏れが65世帯に対して4150万円あったという報道がありました。11月27日のNHKのニュースによると「重度の障害がある子ども2人と暮らしていた女性への生活保護費をめぐり、家族を介護している場合に上乗せされる「家族介護料」などを17年間にわたってあわせておよそ625万円分、加算していなかったケースがあったことが、明らかになった」とのことです。これを受けて堺市が調査を行ったところ65世帯への家族介護料の加算が漏れていたことがわかったそうです。多くの自治体で加算もれが起こっている可能性が指摘されているそうですが、
まずは、障害者加算の家族介護料はどのようなものかお聞かせください。
福祉部・福祉事務所:障害者加算の家族介護料は、重度障害者を介護している家族の介護の需要に対応させるとともに、その世帯の経済的負担を和らげ生活の安定を計らせることを目的としたものです。
山田:堺市のケースは判定基準が区ごとに違っていたことが支給漏れを招いたそうですが、本市においては加算計上について、どのように判断を行っているのかについてお聞かせください。
福祉部・福祉事務所:介護を受ける方が居宅で保護を受給しており、障害等級表の1級もしくは2級、または国民年金法施行令別表に定める1級に該当し、食事、入浴及び排泄の3つの基本動作すべてに介護を必要とする方であること、また、保護受給中の同一世帯員が直接介護していることを要件として、加算の対象となる方について訪問調査の機会等を通じ生活実態を確認のうえ加算計上の判断を行っています。
山田:堺市の件を受けて、豊中市で家族介護加算の支給漏れがないかどうか確認はされたのでしょうか。確認された場合どのような方法で確認されたのか、合わせて今後はどうするのかについてもお聞かせください。
福祉部・福祉事務所:家族介護料計上の可能性について、12月、2月の2回確認を実施しました。
確認方法としては、加算要件からデータ抽出した世帯インリストに基づき、家庭訪問での確認状況から加算可能性の有無について検討を行っております。
今後も適正な保護の実施となるよう定期的に点検してまいります。
山田:意見・要望です。確認をして漏れがなかった、ということです。今後定期的に点検をしてくださるとのことですが、くれぐれもケースワーカーによって加算の適用判定基準が曖昧になることがないようにお願いしてこの質問を終わります。
【自動車保有容認ケースの多用途への利用について】
山田:厚生労働省は、2024(令和6)年12月25日付け事務連絡「『生活保護問答集について』の一部改正について」を出しました。この事務連絡では、生活保護手帳別冊問答集に「問3-20-2 保有が認められた自動車の他用途への利用」を新設し、その中で、「障害(児)者の通勤や通院等のために保有が認められた自動車の場合」には「日常生活に不可欠な買い物等に行く場合についても、社会通念上やむを得ないものとして、原則として自動車の利用を認めて差し支えない」としています。
自動車保有についての取扱が改正されたが、どのように改正されたのか。改正の内容についておしえてください。
福祉部・福祉事務所:生活保護制度上、自動車は活用すべき資産とされており、原則として保有が認められていませんが、事業用や通勤用、通院用等に利用する場合であって、一定の要件を満たす場合には例外的に保有が認められています。
今回の改正は、通勤や通院等のために保有が認められた自動車の他用途への使用について示されたもので、例えば、障害者の通勤・通院等のために保有が認められた場合について、遊興のために度々使用するなど、生活保護法の趣旨に照らして望ましくない場合を除き、日常生活に不可欠な買い物等に行く場合などは社会通念上やむを得ないものとして自動車の利用を認めて差し支えないものとしたものです。
山田:障害者の通院用として認められた自動車について、運行記録のようなものを提出させている自治体があると聞きましたが、豊中市は運行記録の提出を求めることがあるのでしょうか、お聞かせください。
福祉部・福祉事務所:事業用について認めた自動車については、運行記録の提出により事業実施の確認を行っておりますが、通勤、通院等で認めた自動車についての運行記録の提出は求めておりません。
山田:今回の改正で豊中市の対応に何か変更はあるのでしょうか。お答えください。
福祉部・福祉事務所:当市では、以前より過去の裁判例を踏まえて障害者の通勤、通院用の自動車については運行記録を原則求めない取扱としており、対応の変更はありません。
山田:意見・要望です。豊中市(障害福祉課)におかれましては、厚労省判断以前から、障害者の通勤、通院用の自動車について運行記録を原則求めない取り扱いをされていたとのこと、当事者サイドの切実なニーズに基づくご判断で、評価申し上げたいと思います。今後とも、障害当事者の切実な要望に真摯に耳を傾けてくださいますようお願い申し上げて、この質問を終わります。