性被害・性加害アンケート結果のご報告
こんにちは、山田さほ事務局です。
今回は2023年12月から2024年2月までに集めさせていただいた「性被害・加害アンケート」の結果を報告させていただきたいと思います。
回答してくださった43名のみなさま、ありがとうございました。
①回答者はどんな人?
保護者の方が18名、生徒児童の方が19名、その他が2名でした(以下、無回答は除きます)。お子さん(あるいは、回答者さん)が通う学校は、保育園の方が5名、小学校の方が11名、中学校の方が5名、高校の方が5名、その他の方が12名でした。そのうち、10歳未満の方が8名、10代の方が15名、20歳以上の方が16名でした。
(ご自身の年齢を回答してくださった方とお子さんの年齢を回答してくださった人の両方がいらっしゃると思います)。
②性教育について
性教育についてですが、みなさん「重要だ」と感じておられる方が72%おられますが、「内容が十分でない」(15%)という不満も持っておられるご様子です。
では、おうちで性教育ができるかというと、やっぱり難しいですよね。家庭内性教育のことを「必要だと思うが、実施できていない」(38%)、「していない」(20%)と約60%近くの方が「性教育を実施できていない」のが現状だということが分かりました。性教育は多くの人が抱える悩みなんですね。
性教育を実施するためには、絵本や本も役に立ちます。しかし、なかなか書店でも見かけませんし、買いづらいですよね。実態はどうかというと、75%の人が「持っていない」ということでした。その中には「ほしいけど、買いづらい」という方が10%ほどいらっしゃいました。逆に、「性教育の本や絵本が家にある」という方は23%ほどにとどまりました。デリケートな問題なのでなかなか家庭では教育しづらい、ということもあると思います。
➂お子さん(ご本人)の状況
「お子さんの友達付き合いで気になることはあるか?」という質問をさせていただくと、56%の方から「ない」という返答をいただきました。しかし、「保育園だからまだないが、年齢が上がっていくと心配」という声もたくさんありました。逆に「ある」と答えられた方は18%ほど、「わからない」と答えられた方は20%ほどでした。その中には友人から攻撃されていたり、友人やお兄さんが使う暴言を覚えて意味も分からず使っているのが心配という声もありました。
※子どものスマホとの付き合い方
「お子さんがスマートフォンを使用しているときに、不安はありませんか?」と質問させていただきました。次のような回答を得ましたのでご紹介します。
・娘のスマホは管理している。母親が中身まで確認している。プライバシーもあるが、管理下(養育)である以上、どんなお友達がいるかは確認している。
・スマホではないか子供専用タブレットで知育系ゲームならやっています
・マナーを守る対話が大事!
・SNS等で犯罪に巻き込まれる可能性を危惧している
・今は成人しているから管理は任せているが中学生の頃から小学校の頃から持たせていた。子供に見せたくない情報も広告で流れてくるのが懸念でした
・子供スマホではなく普通のスマホを持たせるのは早く感じる
・スマホもいじめに繋がる
・動画のcmやネットの広告でアダルトな内容が当たり前の様に出てきて不安
・管理できていない
・友達が見ているから見たい、持っているから自分も欲しいと言われることどんな動画を見ているかなど、家でも管理仕切れていない。
・管理はしているが、不安はある
・管理はしていますが、実際友達と、どういったやり取りをしてるかが、わかないです。
・夫のスマホでゲームや動画を見ている。早すぎると思う
・家庭で管理しても子供の方が上回って監視をスリねけて危険な動画や他人と接点を持ってしまう
次に、「お子さんはいじめにあっていますか?」という質問ですが、70%の方が「問題はなさそうだ」と答えてくださいました。他方、「わからない」と答えられた方が10%、「悩んでいる(いた)」と回答してくださった方が12%ほどいらっしゃいました。単純計算でいえば、40人学級のクラスで4人ほどが具体的にいじめに悩んだことがあるようです。
また、「子どもが性被害にあっているかもしれない」という疑いを持っているかどうかも質問させていただきました。そのうち75%の方から「問題なさそうだ」という回答をいただきました。「わからない」「性教育の知識が乏しいと被害だとわからない」「相談されてもどうしていいかわからない」という不安の声もありました。
他にも「そもそも性被害にあっても親にも伝えないのではないか」「性被害にあい裁判沙汰になったが、裁判の過程で傷を負いトラウマの回復に時間がかかった」という声もありました。
④性被害にあったとき
万が一性被害を予防できなかったとき、どうすればいいのか。そんなことは誰もなかなか教えてくれません。「お子さんやあなた、もしくは近所や身近な人のお子さんが深刻な性被害にあったときの対応の手順は知っておられますか?」という質問もさせていただきました。「どう対応していいかわからない」が43%、「知らない」という方が33%と76%ほどの人が性被害にあったときの対応がわからないと不安を抱えておられるご様子です。
※下のグラフの題名がおかしくなっていますが、正確には「豊中市にはCAPプログラムを全ての子どもが一度は学べるようにしてほしい」です。
これほど不安を抱えている方がいらっしゃるにもかかわらず、公教育でその対策が打たれることはほとんどありません。「子どもに性被害を打ち明けられた時の対応など、保護者対象の勉強会を学校に実施してもらいたいですか?」という質問に87%の人が「実施してほしい」という意見でした。その中には「教員向けの研修も必要だ」という声がありました。また、「豊中市に就学前からの性教育の副教材を作って欲しい」という方も76%にのぼりました。
そのほか、みなさまからこんなコメントをいただきました(コメントの数が一番多かったのはこの質問でした。)列挙させていただきます。
・各機関の先生から出来る年齢にあった性教育が必要である。
・性教育は男女で別になる時間がある事が不思議です。
・性教育のコマは早ければ早いほど良いと思います。
・プライベートパーツを見せない、触らせないことを就学前に学べるようにして欲しい。親も子どものプライベートパーツを触ってはいけないこと知らない家庭もあると思うので親への啓蒙も兼ねて。
・まだ子供が小さいが、家庭内でどう性教育しないといけないかわからない。成長とともに改めて“必ず考えないといけないという機会”がない。
・健診の時、各保育園や幼稚園などで定期的に情報提供の場があればと思います。今は自分から情報を取りに行かないと性教育の情報は入って来にくいと思うので。
・家庭に冊子を配る(性被害の定義、対応の仕方)
・保育園などで気になることがあれば誰に相談したら良いのか教えて欲しい。
・就学前検診で性教育や、性教育にあった際の窓口の案内をしてほしい。いじめに関しては相談先のチラシをもらったが、性教育についてはチラシももらっていない。
・保健の先生にお話を聞いたりしているようだ。園の玄関に図書コーナーがあるので体の本なども置いて欲しい
・保育園で絵本を使用して教えてほしい
・年齢に応じた性教育を学校で定期的に実施していただきたい。また性教育教材を対象年齢がいる家庭に郵送配布してほしい。子供だけではなくて保護者向けの勉強会もしてほしい。
⑤性教育の周知状況
現在、性被害や性加害を予防するための包括的性教育やCAPが注目されています。みなさんにも「包括的性教育は知っていますか?」という質問をさせていただきました(ついでに私はつい最近まで知りませんでした)。その結果、71%の方から「知らない」という回答をいただきました。「知っている」方が10%、「聞いたことがある」方が18%でした。
では、CAPはみなさんご存じでしょうか(当然、私も最近まで知りませんでした)。CAPプログラムとは、Child Assault Prevention (子どもへの暴力防止)の頭文字をとったもので、子どもたちがいじめ・痴漢・誘拐・虐待性暴力といったさまざまな暴力から自分を守るための人権教育プログラムです。豊中市の一部のこども園、小中学校で実施、一定の成果をあげています。
そこで「豊中市にはCAPプログラムを全ての子どもが一度は学べるようにしてほしいですか?」と質問させていただいたところ、約70%の方が「一度は学べるようにしてほしい」と回答されました。そのほか「詳しい内容を知らないので、内容を知りたい」という方も20%ほどいらっしゃいまいした。
⑥最後に
みなさん、読んでいただきありがとうございました。
最後に意見を書き込んでくださった方がたくさんおられましたので、紹介させていただきます。
・知り合いに中学生の、娘のさんかいる父子家庭が、あります。デリケートな時期に入り、身体も心も大人になろうとしています。このパターンの場合は豊中市としての取り組みを知りたい。
・【子育てしやすさNo.1】のスローガンをあげるなら、性教育は切っては切り離せないデリケートなテーマです。よろしくお願いします。
・これは全ては人間性だと思います。人を思いやる心があって、出会った方全てに感謝をすれば自然とやってはいけない事が分かってくると思います。その為に、親の教育が大事になったり、こういう性教育の徹底を積極的に行う事によって、子供たちの性的事件は失くなっていくと確信します。例えば、人の物を盗ってはいけない、女の子に暴力をふるってはいけない、などこういう当たり前の事の大切さを徹底して教育することが大事なのかなと思います。
・性教育で優しさや思いやりも学べることを望みます
・伊丹市では小学校3年生になるとCAPプログラムを学校で受けるようです。男女共同参画センターで開催された親子一緒に受けられるCAPワークショップも勉強になって良かった。子どもに性教育を伝えているのはネガティブな理由(被害に遭わないために)が大きいが、本来のポジティブな部分(自分がこの世に生まれてきたこと、命を考えること)も伝えていきたいと思っています。
・学校では性交渉や妊娠についてなど詳しく教えてくれないと聞きました。なので、少しずつ生理や性交渉、妊娠の仕組みなどを話しています。保育園幼稚園や学校でも学べる機会があればいいなと思います。
・人のプライベートゾーンを勝手に触ったりしたらいけないと話もしています。
同級生が突然ズボンをずらす、性器を触ってからかう等の遊びがあり、子どもは〝あれはやってはいけないことだよね〟と言います。
・性教育は大切だとわかりつつ、どこかタブー視されているような気がします。子供にも何歳から伝えればよいかなど分からない親も多いと思うので、色々な場面で情報が入ってくるようになれば理解も進むのではないかと思います。性被害も知識が無ければ泣き寝入りするような事もあると思うので、正しい知識と対処法が学べる機会があればとも思います。
具体的にこういうことをされたり、したりすると、良くないということを幼稚園頃から教えること。そうすると自然と子どもたちが拒否の意思や行動がとれるかと思います。
家庭においても、冊子やSNSを利用し、発信すると、時間がある時に目を通す事ができます。
・今は気軽にインターネットにて間違えた性を描いているのを見る機会が多く(ユーチューブの公告等にて)、どういう性が正しいのかを小学生頃から教えるのも良いかと思います。
以上です。ありがとうございました。