民間プール施設ツアーと残念な議会傍聴席
障害のある児童の保護者のみなさんと市内民間事業所ツアー
6月議会の個人質問は「豊中市における、支援が必要な生徒の小・中学校の水泳授業」について取り上げました。
質疑の内容はコチラ→https://actionforallkids.com/2630-2/
たまたま知り合うことができた障害のある児童の保護者のお母さんの一言がきっかけでした。「うちの子が来年小学校に入学するが、その小学校の水泳授業がこの4月から民間のスイミングプールに委託されている。どうやらその民間プール施設はバリアフリーではなく、うちの子は水泳授業を諦めなければならないのでしょうか?」、それを聞いた翌日、教育委員会に事情を聞きました。「その施設については完全なバリアフリーではないものの、併設されている大人向けの会員制ジムの中にあるエレベーターを使えばなんとかプールサイドにアクセスができる」ということがわかりました。私はカナダのトロントに10年以上住んでいました。公共施設がバリアフリーなのが当たり前になっていました。学校で水泳授業の実施はありませんが、街にはたくさんの無料で利用できる公営プールがあり、すべてのプール槽にスロープが付いていました。
この「バリアフリーの当たり前脳」が、ここ日本では通用しないということを改めて思い知りました。帰国して、すぐに議員になったので、日本の施設では合理的配慮がまだまだ浸透していないことに慣れていないのです。ここ豊中市は私が子どもだった頃の環境から、さほど、変わっていないのです。驚きですが、これが現実です。
では残りの市内民間プール施設のバリアフリーの状況はどうなのだろう?と疑問に思い、実際に見て回ることにしました。私がひとりで視察するより、当事者の方に一緒に来てもらった方が問題点やメリットが見つかるだろうと思い、同じ保護者の方にお願いしたところ引き受けてくださったのです。そしてお友達のみなさんにも声をかけてくださいました。
段取りはとんとん拍子に進み、6月前半、2日に亘って、保護者の皆さんと、当事者である児童2人(「自分も参加したい!」と授業を途中で抜けて参加してくれたんです!)豊中市の水泳授業支援事業業務委託先と、委託先として市が検討中の市内6か所の民間スイミングプールの見学に行ってきました。アクセスが悪い施設もあり、インクルーシブ教育、「ともに学び、ともに育つ教育」の観点からは、どう考えても委託できる状態ではない施設もありました。中には緊急時に利用する非常口が螺旋階段の施設もありました。
保護者のみなさんと子どもさんたちと終始ワイワイと言いながら回ってとても楽しい時間でした。私にとっては保護者のみなさんの口から出る一言一言全てが勉強です。歩き回りながら、その言葉を取りこぼさないためにメモ取りをしますが、すぐに持っていた紙がすぐにいっぱいになってしまい書くところがなくなりました!ピンチです。途中寄ったホームセンターで電子メモパッドを買いました。これがなかなかいい選択でした。電子メモパッドは硬いので、どんな体勢でも書きやすい。皆さんの言葉を書き取りながら書くところがなくなったら携帯の写真におさめる、消去してまた書き始める。気がついたら携帯の写真ライブラリが真っ黒になっていました!
お子さんが受ける水泳授業にすごく熱心な保護者の皆さん。「うちの子、肢体不自由やけど、プールに入ったらよく動けるんです。楽しそうにするんです。だから水泳授業には参加させたいんです」と話してくださいました。豊中市は全ての子どもたちが水泳授業を受けられる環境を守っていくべきです。現状では豊中市内のほとんどの民間プール施設はバリアフリーではありません。大人が担げばいいと教育委員会は言いますが、プール施設の床は濡れているので、通常の介助よりリスクが高まります。教育委員会は「民間プールの多少のバリアは学校のプールでも同じことだ」と言いますが、学校のプールサイドは床がコンクリートでザラザラしていて滑りにくいですよね。
豊中市は2023年度水泳授業の民間委託を進めていくことを決めましたが、「誰1人取り残さない教育」の維持は最優先であるはずです。気づいたら、障害のある児童・生徒は水泳授業から取り残されていた、ということがないようにこれからもしっかりと市の動向をチェックしていく必要があります。豊中市のご担当のみなさまは、子どもたちの水泳授業の計画に当事者である支援が必要な子ども達やその保護者の声を取り入れながら、そして、透明性をもって取り組んでいただきたいと切に願います。
「豊中市における小学校・中学校の水泳授業について」の議会質疑の日、なんと民間プール施設ツアーを一緒にまわった保護者のみなさんが傍聴席にかけつけてくださいました!お子さんたちも来てくれた!「私たちが見ていると、議員のみなさんにも、市長にも、教育長にも職員にも、知って欲しい」そんな思いで、駆けつけてくださったのです。しかしこの後、衝撃が私たちを待ち受けているのでした、、
議会傍聴席がまさかの、、
バリアフリーではありませんでした。電気で昇降する椅子があるけれど、安全ベルトもなく、実際使えるのは自ら上半身をまっすぐ支えることができる一部の人です。「まさかこの時代に?!」と青ざめました。
本会議当日は市の職員さんたちが車椅子を傍聴席まで抱えて運んでくださることになり、子どもたちはお母さんが抱えて昇降できる椅子で上がってもらうしかありませんでした。
「なんてことだ、、2024年だと言うのに議会傍聴席がバリアフリーではないなんて」改めて気づき(議員になって以来傍聴席の昇降できる椅子をみて、バリアフリーなんだと不覚にも思い込んでいたのです、、)、愕然としました。これは早急になんとかしなくてはいけません。しかし、行政総務課に問い合わせたところ、傍聴席をバリアフリーにしようとすると、構造上議会棟を全て建て替える必要があるそうなんです。しかも最近改修工事が終わったところでしばらく建て替えはない、とのこと。「え!!」とんでもないことです。全ての市民の方が傍聴できないだなんて、、どうする豊中市議会!!2024年にいまだにバリアフリーではない傍聴席、、一刻も早く改善しなければ!ということで、私、山田さほは早速、議会改革検討委員会に議会棟の建て替えの提案を出しました。議会棟の建て替えはすぐに実現はしないと思うので、それまでの対策として豊中市議会傍聴規則を変えて、階段を使うのが困難な市民が傍聴の際は議場内に一時的に傍聴席を設けることができるようにする、という提案も合わせて出しました。各会派の幹事長4人が検討をします。残念ながら会派無所属の議員は参加することができません。全ての市民が豊中市議会を傍聴できる環境が一刻も早く実現するべく各会派幹事長の皆さん(横尾 しずか氏(大阪維新の会・無所属議員団)、石原 準司氏(公明党豊中市議会議員団)、井本 博一氏(とよなかを共に創る会)、山本 一徳氏(日本共産党豊中市議会議員団)に議会棟の建て替え、そしてそれまでの間、一時的に議場内に傍聴席を設けるために傍聴規則を変える提案をボツにしないで欲しいと直接訴えかけていきます!もちろん、今まで誰も市議会に働きかけてこなかったわけではなかったそうです。後ほどその話をさせていただきますね。まさか、、「ネット中継があるから傍聴できなくても、、」なんて寝ぼけたこと言う人間が豊中市議会にいないことを願うばかりです。議会傍聴は、「ちゃんとみてるから仕事してよ」という、市民から議員や豊中市への意思表示の表れでもあるんです。とても大事な市民活動なのです。その市民活動の機会を市民の皆さんに積極的に提供し、その環境を整えるのがが市議会の役割です。
後日談−車椅子の元豊中女性市議会議員いるべかよこさん
傍聴席がバリアフリーでないという衝撃を受けてからこの件に詳しい方(当事者や障害者団体の方)と何度かお話しをするたびに出てくる「いるべかよこ」さんというお名前、元豊中市議会議員の方です。1991年4月「全国初の車椅子女性市議会議員」として当選してから4期16年、市議会議員を務められました。いるべさんが議員だった頃、議場にスロープがついたり、演壇がなんと、昇降式になったとのことでした。しかし傍聴席バリアフリー化だけは取り組もうという方向ではあったものの道なかばで、いるべさんが議会を去られてから時間が止まってしまったみたいです。「当事者がいる大事さ」を改めて痛感しました。いや、本来当事者が議員にいるいないに関わらず、バリアフリー化は取り組むべきことです。日本はまだまだ遅れているという事実は、非常に残念なことです。世界では2040年までにすべてバリアフリー完了を目指す国もあるんですから。でも愚痴ばかりは言ってられません。前進あるのみです。いるべさんの情報をネットで探していると、あるブログを見つけ、拝読。いるべさんの介護をされていた方の手記でした。こんな一文を紹介させていただきます。
〜お元気なときは、いろんな市民の方から、さまざまな相談を受けていました。「死にたい」「殺される、もうだめ」といったどうしようもない状況の電話の時も、介護者をかけつけさせたり、ご自分も助けにいったり、対応されていました。〜
たくさんの、障害当事者から相談が寄せられていたのだろうと拝察です。背筋が伸びるおもい。私に何ができるのか、今はできることをコツコツとやるしかありません。頑張ります。