2025年6月議会個人質疑②社会的養護自立までの伴走支援について
山田:社会的養護を必要とする多くの子どもたちの背景に虐待の被害や深刻な貧困があります。そして社会的養護では、巣立ち、すなわち自立の時期を一律に強いています。巣立った後も、セーフティーネットとなる親や家族に頼ることができないので、失敗することも立ち止まることもできない暮らしが待っています。生活の一切を自らで担い、働き、収入を得て日々の生活を維持していかねばなりません。虐待被害の予防から、伴走支援まで、こどもたちの辛いハンデを可視化し、取り除くのが行政の役目だと考えます。
1問目です。まず「社会的養護に至るまでの虐待の予防策としての居場所づくり」について、伺います。
内閣府「孤独・孤立対策に関する施策」推進の重点計画が5月27日に改定されました。改定内容には小中高生の自殺者数が過去最多となったことを重く受け止め、児童館、フリースペース、こども食堂など、家庭でも学校でもない多様な居場所づくりの必要性、居場所を通じて、こども・若者の悩みを地域で受け止め、伴走支援を行う体制構築、自治体、NPO 等の支援、地域で教育や福祉等に携わる方の「顔の見える関係づくり」など、孤立に向けた取り組みの推進が明記されています。
2023年度「豊中市子どもの生活に関する実態調査」においても、学校と家にしかソーシャルキャピタルを持たない子どもにとって家にいる人に関する悩みは家族や友達には話にくいという結果でありました。そして同調査の政策提言では、全ての子どもを視野に入れた「自然に支援につながる仕組み作りや、今までの縦割りとは次元の違う中間支援を行う機関」の役割、および、居場所との協働を明確化させるとあります。
今、子どもたちの居場所として「児童館」が求められています。3月にも1,000 ㎡程度の中規模以上の児童館の必要性についてお考えをお尋ねしましたが、その後ご検討いただけましたでしょうか。
こども未来部:本市におきましては、児童福祉法に基づく児童福祉施設である児童館 を市域レベルで整備することより、子どもや保護者等の利用者がアク セスしやすいよう、小学校区など身近な地域で、児童館的機能を持つ多 様な居場所の充実に、公民連携のもと取り組むことが重要であると考 えております。また、利用者のうち、支援が必要な人が、相談支援につ ながるため、寄り添いやすい環境・規模であることも必要と考えており ます。 1,000㎡程度の児童館の設置につきましては、これらの考え方とあわせ て、建設コスト・運営コストの面でも課題があることから、現時点では 検討しておりません。
山田:絶対に児童館でなければならないというわけではない。
昨年度まで蛍池の人権平和センターで実施されていた児童育成支援拠点事業に視察で訪れました。この居場所の内容が地域の子どもだちの生活実態に寄り添ったものでした。ああいった形の居場所を市内各小学校区に展開されてはいかがでしょうか。要望しておきます。
続いて(2問目)【ケアリーバーの支援について】 について伺います。
社会的養育から自立する方、以後ケアリーバーと呼びますが、このケアリーバーの支援について、3 月定例会において、取り組みの方向性等を質問しましたが本市が現在取り組んでいる内容を教えてくだ さい。
こども未来部:社会的養護のもとで育ったケアリーバーの中には、家庭からの支援が 望めなかったり、過去の不適切な養育環境の影響により自立にあたっ て様々な困難を抱えていたりする人も少なくありません。
本市ではケアリーバーを支援するため、大阪府における取り組みを引 継ぎ、社会的養護自立支援拠点事業を実施しています。国が定める実施 要綱に準じながら措置解除を控えた人へのソーシャルスキルトレーニ ングやケアリーバー同士の相互交流の場の提供、相談支援などに取り 組んでおります。
さらに、それぞれのケアリーバーが抱える課題に応じて、本市の若者支 援や生活困窮者支援に係る相談支援機関や「子ども・若者支援協議会」 などのネットワークとも連携し、必要な支援につなぐ体制を整えてい ます。
山田:ソーシャルスキルトレーニングやケアリーバー同士の交流の場、相談支援などの取り組みがあるとのことで、了解いたしました。
(3問目) 【ケアリーバー支援に係る地域の声の聞き取りについて】伺います。
里親のネットワークや児童養護施設で暮らす子どもたちのことを考える円卓会議など豊中市には優れた地域資源があります。この地域資源と連携し、見えにくいニーズや具体的な事例を知ることで子どもにとって最善の対策を市として打つことができます。子どもたちの心の痛みや苦しみを一番よくわかっている児童養護施設の職員や里親から、「自立支援に必要な対策について」、直接意見などを聞きとる、いわばラウンドテーブルを行っていただきたいのですが見解をお聞かせください。
こども未来部:児童相談所では、個々の子どもに関して、里親や施設職員等と常に連携 を行い、子ども自身の意見を尊重しながら、支援を行っております。ま た自立後においてもケアリーバー自身や里親や施設等周囲の方からの 声を受け止め、ともに支援に取り組んでいるところです。
あわせて、児童福祉審議会に社会的養育経験者にも参画いただき、自身 の経験をふまえたご意見を頂いているところです。
これらに加えて、地域の方々とつながり、支援者から見たニーズ等の聞 き取りを行うことは、児童相談所がよりきめ細やかな支援を行う上で 有益であると認識しております。
現状、市と社会福祉協議会共催の地域福祉ネットワーク会議に児童相 談所も参加し、こども食堂などの地域団体や民生委員・児童委員、校区 福祉委員、児童養護施設といった地域で支援を行う方々と、顔が見える 関係づくりを進めております。このため、当該会議において、ケアリー バー支援についてもより具体的に意見を聞き取れるよう、地域における家庭養護の担い手である里親にも参加いただくことを検討しており ます。
山田:地域支援者からの聴き取りは有益だという認識をお示しいただきました。そして、地域福祉ネットワーク会議への里親の参加についてもご検討いただいているとのことで、ありがとうございます。
東京都、せたがや区では若者フェアスタートという先進的な事例に取り組まれています。区内の借上げ区営住宅5住戸を廉価で提供、医療費支援、家賃支援、運転免許、高卒資格などの支援、大学等に進学する際に、返済義務のない奨学金給付、ケアリーバーのための居場所事業など取り組まれていますので、是非参考にしていただきたいと要望し、私の質問を終わります。