2025年9月議会個人質問 放課後こどもクラブについて
習い事メニューを導入する放課後セレクト
山田:導入の理由について改めてお聞かせください。
教育委員会:放課後Selectは、平日放課後こどもクラブを利用しているため、習い事に通うことが難しい児童に対し、クラブにおいて習い事ができる環境を整えることにより、クラブで過ごす時間の充実を図ることを目的として導入したものです。
山田:習い事の内容、それぞれの利用料、申込み方法、をお聞かせください。
教育委員会:現在、3社に7校のクラブ運営を委託しておりますが、
うち3校においては英語レッスンで、1回あたり1,600円。
うち1校においては理科工作が、月1回で月額1,500円、
学習支援教室が月2回月額2,500円。
残り3校は、毎週1回のオンラインによるダンスレッスンで、月額1,000円でございます。
各事業者で専用の申込サイトを用意いただいており、ネットから申し込みをいただけるようになっています。
山田:委託業者によって内容や金額が異なることがわかりました。
では、プログラムの決定はどこでどのような手続きでなされているのでしょうか
教育委員会:委託事業者が保護者に希望するプログラムについてアンケートを実施し、上位3位以内に入ったメニューで用意いただいています。
山田:それではそれぞれの事業者が保護者に実施したアンケートの項目と、アンケート結果それぞれの上位3位以内の項目を教えてください。
教育委員会:アンケートにつきましては、放課後Selectの参加の有無や、参加希
望のプログラムについて実施しておりますが、プログラムの項目に
つきましては、
・1社めは、英語、STEAM教育、体操、学習サポート、アート、国際理
解教育、職業体験、リトミックで、このうち上位3位以内の項目は
、英語、STEAM教育、体操でございます。
・2社めは、学習サポート、理科教室、体操教室、英語教室、ダンス
教室 、プログラミング、かけっこ教室で、このうち上位3位以内の
項目は、学習サポート、理科教室、体操教室でございます。
・3社めは、ダンス、英語、アート、探求学習、習字、プログラミン
グ、そろばん、マナー講座、科学、工作、体操で、このうち上位3
位以内の項目は、ダンス、英語、同順位でアート、探求学習でござ
います。
なお、うち1社については、こども自身が希望するプログラムとし
てアンケートの回答をいただいております。
山田:では次に2023年度豊中市子育ち・子育て支援に関するニーズ等調査の結果についてお尋ねします。
保護者が放課後こどもクラブに希望すること上位三件と、子ども本人が放課後こどもクラブで時間を過ごしてよかったと思うこと上位3件お答えください。
教育委員会:豊中市子育ち・子育て支援に関するニーズ等調査でございますが、
保護者については、順に
「習い事・部活を企画・実施してほしい」
「授業の補修や学習支援を行ってほしい」
「安全で安心して過ごせる時間・環境にしてほしい」
というものです。
次に子ども本人調査については、順に
「友だちがいる」
「楽しい」
「いろいろな遊びや体験ができる」
というものになります。
山田:保護者と子どものニーズは違うことがわかりました。
2023年度施行のこども基本法第 11 条で、国や地方公共団体に対し、こども施策の策定等に当たってこどもの意見の反映に係る措置を講ずることが義務付けられました。しかもこの新法、子どもの意見の反映が恣意的に行われたり、または形骸化されないことが、、、すなわち子どものための施策に大人都合を持ち込まない、という考え方が、「子どもの最善の利益を優先しなければならない」という文言になって盛り込まれています。「子ども真ん中」とは子どもの回にいる大人にとって都合良い環境を作ることではないのです。」
以前ある議員さんが、放課後セレクトの導入について子どもの意見を聞いたかどうかを質問され、市の答弁は「子どもから意見は聴取していない」とのことでした。放課後セレクトの導入について、子どもの意見を聞かなかった理由を教えてください。
教育委員会:本サービスは、子育ち・子育て支援に関するニーズ等調査におけるご家庭のニーズを起点に導入したものでございます。
本サービスの実施にあたりましては、直接的に児童の意見は聞いておりませんが、各ご家庭において児童の意見を確認したうえで、アンケート調査にお答えいただいているものと考えています。
一方で、本市の放課後施策の推進にあたりましては、児童からの意見の反映は重要なテーマだと考えています。
山田:各家庭において児童の意見を確認したということを確認されたのですか?確認されたのであればその手法についてお答えください。
教育委員会:各ご家庭において、児童の意見を確認されたかどうか把握はしており
ませんが、クラブでの過ごし方については、日ごろの各ご家庭でのコ
ミュニケーションのなかで、児童の希望は確認されているものと推察
しております。
山田:保護者が児童の希望を確認しているだろうという推察だということでした。
子ども家庭庁が2024年3月に出した地方自治体職員を対象にした「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン」には、「意見表明の主体は子どもであるので、子どもの意見を保護者に聞くことで意見を聴いたことにせず、直接意見を聴く方法を検討してください」とあります。当該ガイドライン、参考にしていただくよう要望しておきます。
現在実施中のプロポーザル案件に「学校を拠点とした放課後等の児童の居場所づくりモデル構築支援業務」がありますが、この業務の概要と実施の目的を教えてください。
教育委員会:本事業につきましては、放課後こどもクラブ事業と同様に、新たな施策の推進を進める上で、児童の意見を反映することは重要なテーマであるものと考えております。その一環として、児童にとって多様な学びや体験活動につながる居場所となるよう具体的な検討を進めることを目的としております。
業務の概要ですが、事業者による専門的な知見を活用し、放課後の過ごし方に関する児童の意見や学校・家庭・地域のシーズやニーズをくみ取りながら、放課後の居場所に関する基本的な考え方・取り組みの方向性等について調査・研究するものです。
山田:改正児童福祉法や子ども基本法を根拠とした、この4月から実施されている改正後の放課後こどもクラブ運営指針では、子ども主体の運営」が重視されています。この改正に伴う新しい方針を受けて早速、「学校を拠点とした放課後の児童の居場所づくり」について児童の意見を反映した取り組みも始めようとしておられているとのご答弁でした。
今後は放課後セレクトを含めた放課後こどもクラブにおいても、児童の気持ちを反映した運営の取り組みを実施していただけますか?お答えください。
教育委員会:これまでも、日々のクラブ運営の中で、各クラブにおいて児童の意見を反映するよう努めてまいりましたが、今後の施策展開については、より一層児童の意見を反映できるよう、取り組んでまいります。
山田:ありがとうございました。前向きなご答弁だと受け取りました。
意見・要望です。まず、なぜここにきて、子どもの意見を取り入れる方向に国が舵を切ったか、ということです。
1994年に日本が批准した子どもの権利条約の理念が、国内の法律に十分反映されているとはいえない状況が30年続きました。国内での法整備が遅れたことで、子どもの権利保障が進みにくい状況でした。1998年以降、15~34歳の若い世代の死因の第1位が自殺となりました。2024年に小中高生の自殺者数、529人で過去最多になり、女子が初めて男子を上回りました。日本の小中高生は1週間で約10人自殺していることになります。まさにいたましい異常事態です。その背景には、子どもを権利主体とみない、日本社会の古い体質が大きく影響しているのではないでしょうか?子どもの権利条約に盛り込まれた「子どもまんなか社会」の理念を実現するため、子どもを権利の主体として位置付けた包括的な法整備が行われた、それが2023年施行の子ども基本法です。国際的に日本が、ようやく大きく前進した状況です。
厚労省の最新の調査では子どもがいる世帯は、生活が「苦しい」と感じる割合が特に高く、約65%です。保護者においては例えば18歳までの医療費の完全無償化、給食代無償化、子ども手当のさらなる引き上げ、など金銭面でのサポートにより負担感を減らすことが必要です。
保護者にはもう余裕がありません。ですので、まず自治体の職員のみなさんが子どもの権利擁護を理解する、そして地域の大人を牽引し、子どもの権利擁護の概念を地域の土壌に浸透させていくことが喫緊の課題です。
子どもの意見をちゃんと取り入れずに始めてしまったこの放課後セレクトの事業そのものの方向性を直ちに見直す必要があります。子どもの意見を聴取される際、保護者を通さずに子どもから直接行うことはいうまでもありませんが、調査対象の子どもには当然のことながら、障害のある子ども、家庭の経済的事情で放課後セレクトに参加できない子どもの気持ちも聴取することを強く要望します。改正法及び新法を順守した本市における今後の取り組みに大いに期待しています。
小学校長期休業期間中の食事提供
山田:2022年度から放課後子どもクラブの長期休業期間中にお弁当による昼食提供を実施されていますが、一食分あたりの価格と、利用する児童は全体の何割なのかについて教えてください。加えて今年度の放課後こどもクラブ入会児童数も教えてください。
教育委員会:昼食提供については、開始当初は1食あたり450円でしたが、今
般の食材の高騰などの影響もあり、現在、1食あたり550円で提
供しております。
利用率については、概ね出席児童の1割程度ですが、保護者や児童
からは必要なサービスの一つとしての声が届いております。
今年度の放課後こどもクラブ入会児童数は、国基準の5月1日時点
で、5,364人でございます。
山田:お弁当による昼食提供は大きな前進だったと評価しています。。茨城県境町の事例では、給食を全ての放課後子どもクラブで長期休業中に提供しているそうです。利用者がなんと9割にのぼるそうです。給食の場合お弁当提供と比べて費用も半分ほどになり、保護者の大きな負担軽減にもなります。子どもが食べなれているということもあると思います。昼食提供の利用率が上がれば、お弁当忘れなどの心配や、保護者の金銭的、あるいは時間的に余裕があるかどうかでお弁当の中身に差が出てしまう心配もいりません。長期休業期間中の給食の実施について今後ご検討いただけませんでしょうか?見解をお聞かせください。
教育委員会:長期休業期間中の昼食提供でございますが、放課後こどもクラブは
学校と異なり、日々の出席者数の変動が大きく、食材の過剰な発注
や調理後の食品ロスにつながる等の課題もあり、現時点においては
給食としての提供にはそぐわないものと考えております。
しかしながら、茨城県境町の事例もございますので、引き続き国・
府の動向や周辺自治体の事例等を踏まえながら、昼食提供について
調査・研究を行ってまいりたいと考えております。
この夏休み、日曜、祝日以外毎日庄内コラボセンターにおいて、民間団体が子どもと保護者対象に無料でお弁当配布を行いました。毎回200食近くが配布されました。最終日は15分たらずで200食がなくなりました。公的施設で行われるお弁当配布は安心できるのでしょうか、おおぜいの参加がありました。現場に伺いましたが、様々な事情を抱えた子どもや保護者に出会いました。庄内エリアではない少し遠方の親子も一定数おられました。お弁当があるということで、普段行かない子育て支援センター「ほっぺ」に寄り、子どもを遊ばせてからお弁当を食べさせて帰る方もいました。その方は夏休みのお弁当配布が終了すると、ほっぺには行かなくなったそうです。こういった取り組みを公的に、できれば学校で行うことを是非ご検討いただきたいと思います。まずは放課後子どもクラブで長期休業期間中の給食提供の検討を強く要望してこの質問を終わります。
安全計画について
山田:2023年より一部放課後こどもクラブの民間委託が開始されました。今年度に入ってからある委託事業所で、子どもの帰宅時の対応に複数問題があったと保護者の方から聞いています。一件目は保護者以外の方が迎えにきて、保護者に確認なく引渡してしまったということ。2件目は雷があった日に子ども達を帰宅予定時刻より早く帰してしまったということです。何が原因で起こってしまったのか、そして今後同様の事案が繰り返されないための対策はどうなさるのでしょうか?お答えください。
教育委員会:児童の引き渡しに関しましては、事前に当日のお迎えの方として保護者が指定する方に引き渡しを行うこととなりますが、本事案につきましては、保護者からお迎えの方として事前に登録は行われておりましたが、事案発生時には、保護者からお迎えの指定・連絡が入っていなかった祖母に対しまして、児童を引き渡したものでございます。
2件めの事案につきましては、本来、17時の一斉下校時点で荒天であった際は、天候が落ち着くまで待機するか、保護者にお迎えを依頼するところを、天候が荒れる前に通常より5分早めに下校を促した事案について把握・確認しております。
今後の対策といたしましては、施設長以下全職員に対応手順の共有と周知徹底を行うとともに、当該クラブの指導員に対しましては、複数人での対応や施設長の最終確認、当日指定されている方と違う方が来られた場合には、必ず保護者確認の徹底を行うなど、改めて安全関連マニュアルに基づき、適切に対応するよう指導・徹底しております。
山田:この民間事業者のマニュアルには「登録している保護者以外のお迎えがあった場合は必ず保護者に確認する」ことや、「危険度が高い場合は、保護者へ迎えの要請や放課後こどもクラブ等での待機をする」と明記されていますので、マニュアルの徹底についてご指導いただくようお願いいたします。
児童福祉法の改正により、2024年度(令和6年度)から、放課後こどもクラブに対し、事業所ごとの「安全計画」やマニュアル等の策定と、それに従った措置の実施が義務付けられています。これについて放課後こどもクラブにおいて何が義務付られたのか、教えてください。また各事業所が策定した安全計画やマニュアルの内容についてどういったものなのかについても教えてください。
教育委員会:計画の策定、安全点検・訓練、職員への研修、保護者への周知が義務付けられています。
「安全計画」の内容については、国の通知により様式例が示されており、施設・設備等の安全点検、マニュアルの策定・共有、児童への安全教育、保護者への周知・共有、避難訓練の実施時期等を掲載しています。なお、「児童の安全確保に関する取組と実施時期」につきましては、防災訓練や設備点検を含め、安全計画にかかる年間スケジュールを定めており、全ての放課後こどもクラブにおいて取り組みを実施しているところです。また、マニュアルについては、防犯・防災・保健衛生について記載しています。
山田:どのような手法で保護者に周知・共有なさっていますか、教えてください。
教育委員会:周知・共有方法でございますが、保護者連絡アプリ「コドモン」の資料室の中にデータを格納することにより、周知等を行っているところでございます。
山田:コドモンにデータを格納するだけでは見落としもあるかと思います。紙ベースでも手渡すべきだと思いますが、見解をお聞かせください。加えて、保護者や地域との円滑な連携が図られるよう、この安全計画とマニュアルの市のHPへの公表が必要だと考えますが、見解をお聞かせください。
教育委員会:安全計画と取り組み内容については、市ホームページに掲載のうえ、入会承認通知の送付文において掲載場所の周知を行ってまいります。
策定しました安全計画に基づく安全関連のマニュアルについては、不審者対応や児童の避難経路など機密事項を除いたうえで、市のホームページへの掲載を前提に検討してまいります。
山田:前向きなご答弁ありがとうございます。意見要望です。子どもの命を預かる放課後子どもクラブの民間委託ですが、先行実施の自治体の状況では、事業者間での質のバラツキが問題になっているそうです。子どもの安全を守るため今後はより一層「委託事業者」と緊密に連携をとっていただきたい、そして必要に応じて再公営化も念頭においていただきたいと強く要望します。
放課後子どもクラブで習い事を実施する施策を打ったのは現在全国で豊中だけだと聞き及びました。しかしこういった新自由主義的な動きは慎重になるべきです。特にこれに関しては、なぜ豊中だけなのか、ということです。もしかしたら誰も後に続かないのではないのでしょうか。放課後子どもクラブの習い事導入は開けてはならないパンドラの箱だったのではないでしょうか。民間活力の有効活用を闇雲に実施するのはやめていただきたいと強く申し上げてこの質問を終わります。