市民協働部編〜2025年3月市民福祉常任委員会【予算委員会】
女性総合支援事業について
山田:2024年度4月に施行された「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(いわゆる女性支援新法)をふまえ すてっぷ内に女性総合相談支援窓口が設置されました。相談窓口の相談件数、相談の主訴分類とそれぞれの件数、相談者年代別の件数を教えてください。また、すてっぷ内の既存の女性の悩みに関わる相談窓口の相談件数に影響があるかどうかについても合わせてお聞かせください。
人権政策課:令和6年(2024年)4月から令和7年(2025年)1月までの女性総合相談支援窓口の相談件数は539件、実人数は273人になります。
相談者の主な主訴について、精神的問題178件、夫や子どもなど家族のこと、関係性などを含む家庭不和146件、生活困窮126件、夫からの暴力110件、住居問題104件等になります。
相談者の年代別件数は50代185件、40代150件、30代74件、60代以上72件、20代31件、10代2件になります。
すてっぷの女性相談の件数に影響はありません。
山田:住居問題の相談は、どのような内容でしょうか?
人権政策課:主な相談内容は、家を出たいがお金がない、住む所があれば別居できる、家賃を滞納しているなどになります。
山田:10代20代が圧倒的に少ないのですがどのような要因が考えられるでしょうか?課題も含めてお答えください。
人権政策課:どこにどのように相談したらいいか分からない若年層にとって、公的機関への相談はハードルが高い可能性があると考えています。
山田:課題の解決に向けてどのような対策が考えられますか?
人権政策課:昨年度は、市ホームページや公共施設のほか、市内スーパーマーケットでのチラシの配架やSNSの動画広告、くらし支援課などと共に市内在住の高校2年生の自宅にチラシを送付しました。引き続き、高校や大学への働きかけなど、更なる周知を図りたいと考えています。
山田:意見・要望 です。様々なとりくみをされているのは、評価させていただきたいと思います。
ここでは、市が試みられた対策にないことを提案したいと思います。
困難を抱える市民への情報伝達には、市の施設のトイレの個室にステッカーを貼るのが有効だと考えます。痕が残って困ると、苦情があるとのことですが、何より、困難を抱える女性に情報を届けることが喫緊の課題です。以前、すてっぷではトイレ個室にステッカ-を貼っていました。それが、中高生にしっかり届いたという事例も多くあったということです。その頃は、すてっぷロビーに、多くの中高生が憩い、学び、交流していました。そうした場所で、情報の取得が行われるのです。何より市の施設に中高生をはじめ、困難をかかえる市民が自由に過ごせる場所が必要です。市民がほっと心身を休め、気軽に相談でき、憩える場所をぜひとも設けていただきたいと思います。さらに、若い世代にはオンラインでの情報発信も大変効果的ですので、ぜひとも取り入れていただきたいと願います。
配偶者暴力相談センター相談件数について
山田:過去三年の相談件数を教えてください。
人権政策課:令和4年度690件、令和5年度933件、令和6年4月から令和7年1月までで、822 件になります。
山田:DV相談件数が増加傾向にあります。過去の会議録を確認しましたが、2022年度のものによりますと、コロナ禍で夫婦の時間が増えたことによる原因が多いとのことですが、昨年や今年度の増え方はコロナ禍よりもさらに増している状況ですが、どのような原因、背景が考えられるのでしょうか?お答えください。
人権政策課:相談件数増加の背景・原因には、令和6年4月に改正DV防止法が施行され、支援 が強化されたこと、配偶者暴力相談支援センターの周知が市民、及び関係機関の間 に徐々に進んできていることが挙げられます。
また、経済的な問題や子どもの問題など、複合的な課題を有しているケース、被害者の自立に向け中長期の支援が必要なケースが増え、被害者対応の機会が増えていることが考えられます。
山田:豊中市は今月よりパートナーシップ宣誓証明制度を導入されますが、配偶者暴力相談センターでの同性のパートナーシップの場合の対応は可能でしょうか?お答えください。
人権政策課:性別や性的指向、性自認にかかわらず、同性パートナー間のDVについても、相談支援を行っています。
山田:自分がDVを受けていると気づいてない被害者、また、被害に遭っても相談できないというような人もたくさんいます。
窓口の周知はどのように行っておられますか?
人権政策課:昨年度は、市ホームページや公共施設のほか、市内スーパーマーケットでのチラシの配架やSNSの動画広告、くらし支援課などと共に市内在住の高校2年生の自宅にチラシを送付しました。引き続き、高校や大学への働きかけなど、更なる周知を図りたいと考えています。
山田:年々相談件数が増えています。家父長制による女性軽視が最も反映されるのが家庭生活であり、日常生活です。これを考えていくのが自治体の役割であり、最も力を入れなければいけない状況なのではないでしょうか。
周知は非常に大事な取り組みです。相談窓口のダイヤルが書かれたステッカーの作成や、市の施設やスーパーの女子トイレでの周知についてもご検討いただきたいと思います。
人権啓発事業について
山田:2025年度より憲法記念事業と同和問題啓発事業を、人権啓発事業に統合するとのことですが、その理由をお聞かせください。
人権政策課:憲法の理念や、人権文化のまちづくりをすすめる条例に基づき、すべ ての人の人権が尊重されるまちづくりをめざし、人権に関するさまざ まな課題の解決に向けて、総合的に啓発事業を推進する体制とするものです。
山田:これは前進なのでしょうか?後退なのでしょうか?
総合的に進めることで、人権に関する様々な課題がどのように解決するのか。すなわち、この統合によって具体的にどう解決するのかということですが、市の考えをお聞かせください。
人権政策課:両事業の趣旨にもとづき、効果的な手法を駆使しながら引き続き実 施していくものでございます。人権問題には、同和問題や障害者、外国人など様々な分野がありますが、それぞれ個別の人権課題に取り組むだけでなく、人権の基礎である「基本的人権の尊重」について、総合的な視点での啓発を行い、様々な人権問題に対応できる正しい理解と認識を、多くの市民の方に深めていただきたいと考えています。
山田:この統合によって事業名がなくなってしまいますが、事業は変わらず続けていただきたいです。いかがでしょうか、考えをお聞かせください。
人権政策課:憲法記念事業については、外部講師による講演会からホームページに よる啓発に手法を変更するため、予算額に変動がございますが、引き 続き、憲法で保障されている人権の大切さを発信することに変わりは ございません。
同和問題啓発事業については、これまでの事業を継続して実施します。
山田:事業名から憲法の名前をなくし、同和問題も一層見えなくなってしまうことを危惧します。
意見要望です。差別問題に関する過去の失敗は、生きた教材です。2度と同じことが起こらないように、特に若い世代に語り継いで行かなければなりません。同和啓発の事業名が消えてしまうことに大きな危惧を覚えます。しっかりと同和問題の啓発事業を継続していただくよう要望します。
貧困格差が大きくなり、約6割の国民が生活が苦しいと感じる今、さらに人権が侵害されることが多くなってきています。そして防衛費が飛躍的に増額された今こそ憲法の大切さを考える時です。何故事実上縮小してしまうのか理解に苦しむと申し上げ、この質問を終わります。